落合です。
ブログではご無沙汰しています。新年を迎え、厳しい寒さが続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。旧年中は大変お世話になりました。本年もどうか宜しくお願いします。
ここで宣伝を2つ。
1つは、既にご承知の方も多いかと思いますが、昨年暮れ、酒井紀美先生のご著書『人物叢書 経覚』(吉川弘文館、2019年12月)が刊行されました。経覚という室町時代の僧侶の伝記をまとめられたものです。吉川弘文館の紹介文を以下に記します。
室町時代中期の僧侶。九条家に生まれ、若くして興福寺大乗院門跡(もんぜき)を嗣ぐ。醍醐寺三宝院の満済(まんさい)に政治姿勢を学びながら大和国支配に力を注ぐが、将軍足利義教(よしのり)によって追放される。復帰後は大和国内の武士たちの対立に積極的に加わり、波瀾の人生を送った。応仁の乱の戦況にも大きな関心をもち、日記『経覚私要鈔』に克明に記録したその生涯を描く(http://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b487639.html)。
以前も書きましたが、人物から歴史を学ぼうとしている初学者にとって、興味を持つ人物の動きを知り、その人物の考えに共鳴したり、思いを寄せたりすることで、ますます歴史が身近に感じられるかと思います。しかし歴史学者にとって、人物史の研究ほどやっかいなものはない、少なくとも私はそう思います。なぜなら対象とする人物の実像に迫るには、多くの伝承や後世の解釈・思い込みを排除して、古文書など一次史料の読解に基づいて叙述することを心がけ、あくまでも客観的に、様々な角度からアプローチしてゆかねばならないからです。僭越ながら、酒井先生の今回の人物史は、そうした懸念は微塵も感じさせない叙述・内容となっておりますので、是非とも手にとってお読みになってください。
2つめの宣伝は、今年6月、河越館の会は10周年を迎えますので、それを記念して、シンポジウムを開催することです。日付は9月19日、テーマは、『吾妻鏡』から『太平記』の時代へ、としました。今まで例会では、『吾妻鏡』という鎌倉時代の史料を読んできましたが、これからは南北朝時代の歴史を勉強していこう、そのためには事前に、14世紀とはどういう時代だったのか、様々な角度から探ってみたい、それにふさわしい講師の講演を拝聴しよう、と思い立ちました。詳細はおってお知らせしますので、楽しみにお待ちください。
さて、当会発足から早いもので、10年を迎えますが、長きに亘って継続できましたのも、会員の皆さんの熱心な受講姿勢の賜と、改めて感謝申し上げます。また、これまで企画しましたシンポジウムや講演会に参加していただいた方々にも、この場を借りて感謝申し上げます。
当会の活動の軌跡は、このブログをごらんいただきたいと思いますが、私ごとでいえば、2014年から17年まで、山形で生活を送り、少し川越との距離が離れた時がありました。しかし、それでも可能な限り川越に行き、例会などに参加したいと思ったのも、会員の皆様との交流を大事にしたいと思ったからに他なりません。
そのおかげで、東北と関東の歴史を相対化して学ぶ視点を得ることができ、貴重な4年間を過ごすことができました。また、そこで得られた人脈も今の私にはプラスになっている気がします。これからも河越館の会をますます盛会とすべく、微力ながら精進していきますので、会員の皆様、末永くおつきあいいただきたいと思います。
年頭にあたりまして挨拶とかえさせていただきます。