2017年5月16日火曜日

【山形通信10】2017年5月更新

皆様、こんにちは。

blog管理人です。落合先生から山形通信が届きました!
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 こんにちは。ご無沙汰しています。当地は桜が散り、新緑の季節となってきました。

 新年度のバタバタで更新できずすいませんでした。今年度も講演会、フィールドワークを計画していますので、楽しみにしていてください。 
 さて、某テレビを見ていたら、名前の読み方についての番組をやっていて、山形の名字も登場していました。ご覧になった方もいらっしゃるでしょうか?

 私も山形大学に来て、学生名簿にふりがながないと、誤った読み方をして、学生に注意されてしまうケースが多いです。例えば、「東海林」を「しょうじ」さんという名字を呼んでも返事がなく、おそるおそる「とうかいりん」さんと呼ぶと、「はい」と返事が返ってきます。それ以外にも山形の地名で、「左沢」なんてのも最初は読めませんでした。正解は「あてらざわ」です。それから最近の学生さんの名前も、いわゆる「キラキラネーム」が目立ちますね。古典的?な「◯◯子」さんなんていう、女子の名前はほとんど見かけません。
 ところで、会員の皆さんも中にも、中世の人名の難読さに辟易している方もいらっしゃるでしょう。実際に当時なんて読んだのか、わからない人物もいますので、そんなに気になさらなくてもよいと思います。ただ、山形の英雄「最上義光」の場合は、どうしても「よしみつ」と読んでしまいたいですよね。しかし、彼の場合、1589年、妹ひがし(伊達政宗の母)に宛てた書状には、「よしあき」と自署していますので、確実に「よしあき」なのです。
 他方、河越直重という南北朝時代に活躍する彼の名前は何と読むべきでしょうか。「なおしげ」か、「ただしげ」かという可能性があります。後者は、足利尊氏の弟直義(ただよし)からの一字付与が想定されます。ご存じの方も多いでしょうが、中世の武家社会では貴人から臣下へ元服などに際して、名前の一字を付与する行為が見られます。河越氏も泰重から高重までは、鎌倉北条氏(得宗家)から一字与えられています。

 では、直重はどう読んだらよいでしょうか。そこで直重の花押に注目したのが、海津一朗氏(『楠木正成と悪党』(ちくま新書))です。詳しい考証は省きますが、直重の花押は、足利尊氏の側近高師直(こうのもろなお)の花押に酷似していますし、両者とも尊氏派であって、終生、個性的な「ばさら大名」(はでで勝手気ままな遠慮のない、常識はずれのふるまいをする武士)としても有名です。よって、直重が師直との関係を重視していたとしたら、「なおしげ」と読んだほうがよいかもしれませんね。
 6月特別例会の成功をお祈りしています。それでは。